令和6年度「清流の国ぎふ」づくり自然共生工法写真コンテスト 入賞作品
一般の方からの投票と審査員による審査の結果、下記の6作品が令和6年度入賞作品に選ばれました。
最優秀賞
入賞者
小枝 雅弥 氏
審査員コメント
無風の水面に木々や白雲が映り込み、背後の山や長閑かな農村風景と相俟って、明るい緑を基調としながらも全体として色彩に富んだ写真は、人工感を漂わせてはいるものの、水辺が緑で覆われた石積みに囲まれた、農村環境の景観と調和した地域住民が散策などを楽しむ憩いの水辺の美しい情景を表現しています。地域住民の利用と生物の生息環境に配慮した環境づくりが素晴らしい創意工夫された親水空間の好例といえますが、湧水が僅かであれば、夏の暑さ対策としてもう少し樹陰が欲しいところです。小型の魚類に加えて、かつては里山水域の王者であったにも拘わらす、現在は絶滅が危惧されていますゲンゴロウやタガメなどの水生昆虫の帰ってくることも望まれます。
優秀賞
入賞者
梅田 直秀 氏
審査員コメント
多段に配置された練積みの自然石による床固工群は、流木を巻き込んだ土砂を堆積させており、出水時の渓床洗掘と渓岸侵食を防止して山脚・山腹に安定をもたらすとともに、下流への土砂流出を抑制しています。土砂災害の防止ばかりではなく、広葉樹林の保全に寄与していることも明らかで、写真は、砂防施設の機能と周辺との調和をわかりやすく捉えています。床固を越流する水と緑の色合いはよく調和しており、木の枝ぶりを手前に入れた写真の構図も効果的です。
優秀賞
入賞者
上野 公彦 氏
審査員コメント
かつて救荒や水害防備等に有用な働きをしていた竹林は、その後適切な管理がなされなくなり、その荒廃は、川沿いに限らず、以前から問題視されてきましたが、写真の水辺の道は、地元の方々の絶え間ない整備で竹林が美しく管理され、真っすぐ延びた竹林と並行して流れる川とのバランスが素晴らしく、歴史を感じさせる景色の実際に散歩したくなる心地よい空間となり、河川管理にも役立っています。この適切な継続的管理による竹林と水際の遊歩道の姿は、密度管理が河川高水敷の景観創出の一助になる可能性を表しており、今後左手の鬱蒼とした竹藪の中に木漏れ日の差してくることも期待されます。
優秀賞
入賞者
(株)久保田工務店
審査員コメント
根尾西谷川の能郷谷との合流点の直上流に造られた落差工とそれに付帯の魚道の写真で、設置箇所は、西谷川が狭い峡谷部に入っていく前の相対的に広い河道区間にあります。原風景だといわれると、人工物が主体であり、魚道下流の垂直的段差も気になって魚道機能に課題がありそうなだけに多少違和感を覚えますが、晴天下の山の緑と空の青さ、赤い橋がアクセントを背後にした、落差工を流れ落ちる白濁流と下流のゴツゴツとした岩に取り囲まれた碧の水面という構図は、構造物が背景に良く映えていて、人工物が自然の中にそっと置かれたような渓流の美しい景観を表現しており、勢いよく流れ落ちる冷たい水しぶきに思わず足を入れたくなります。
佳作
入賞者
大日コンサルタント(株)
審査員コメント
人里離れた極寒の地の厳しい自然の中に位置して、毎年繰り返し襲ってくる冬の厳しさに耐え、土砂生産を抑止しながら山脚を固定して山腹斜面を安定させる機能を発揮し続け、植生の生育基盤を保全して森林生態系の保全にも寄与している砂防施設の冬の佇まいを見事に捉えた写真で、雪、枯れ木、凍った水、構造物のバランスが良く、まるで水が流れ続けているような迫力ある躍動感にも溢れています。厳冬期の砂防堰堤を捉えた構図のとてもよい、効果、内容がともにわかりやすい写真です。
佳作
入賞者
松本 省吾 氏
審査員コメント
現場打ちコンクリートによる低水護岸に大径の丸石を詰めたじゃかごと川辺の竹林の整備は、水害から生活を守ると同時に、人工的になりがちな護岸に木曽川の雄大な景観との調和をもたらし、竹林とその緑陰、ゆったりとした川面に広い空の構図は、写真として成功しています。ただ、じゃかごの針金は劣化が早く見映えが悪くなりやすいこともあり、それらの上にはもっと植生があることが望ましく、また、鉄線じゃかごとその上部に生育する竹林の組合せは、自然石を使用しているじゃかごの変容とともに、竹林が地下茎をじゃかご下に侵出させて拡大するかの工事レベルの実験として、竹林管理の観点からも興味深く、ともに経過が注目されます。